シアター①と②感想
※ネタバレ注意。1巻と2巻と合わせた感想です。↓
MW文庫で有川浩さんによるシリーズです。3巻まで続きます。
1巻と2巻を横に並べると、シアターフラッグのメンバーたちが一緒に歩いている絵になりました。裏表紙にいくと・・・おやあのシルエットは
主要となる人物は、春川司・春川巧・羽田千歳の3人。
ある日、兄の司は弟の巧から300万円を貸してほしいと泣きつかれます。
巧が主宰する劇団「シアターフラッグ」は負債をかかえていて解散寸前。
司は、大金を貸す代わりに一つ劇団メンバーに条件を出しました。
「2年間で劇団の収益から300万円を返せ。できない場合はシアター・フラッグをつぶせ」
絶句するみんな。そりゃそうか。非難の声に司はこう返します。
「降って湧いた借金300万、お前ら全員で頭割りしたらたかが30万だ!いい年こいた大人が雁首そろえてそれっぽちの金も用たてられなかったことを恥じろ!無利子で2年も猶予をやるのに返済できないならお前らに才能なんかない!二年間死にもの狂いでやれ!自分の無力を思い知って死ね!借金できりきり舞いして夢も希望も枯れ果ててしまえ!」
・・・ちょっと言い過ぎでは)汗
こうしてドタバタしながらも人気声優羽田千歳を迎え、シアターフラッグの借金返済物語は幕を開けます。
珍しいと思ったのが、演劇を舞台にしているのに裏方目線が多いことです。1巻は鉄血宰相こと春川司の視点で物語が進みます。彼は役者でもなく主催者でもなく金銭的な管理(黒幕?)を担当し、シアターフラッグの運営に貢献していきます。
小物グッズを提案したり、HPをリニューアルしたり、知り合いのツテで道具を手に入れたり、チケットを販売したり・・・・・・・・・・・まだあるな。
司の活躍でシアターフラッグはめきめきと売上をのばしていきます。売れることを目的とした、商業的な目線が新鮮で面白かったです。
2巻では、他のメンバーのエピソードが掘り下げられ、更に物語に味わいがでてきます。個人的には続きが気になって仕方がありません。
私は有川さんの作品を読むたびに、登場人物にいらないやつはいないと感じます。
鉄血宰相、泣き虫主宰、ディープインパクト、看板女優、忠犬石丸、無個性の80点、うっかりスズべえ、マスター、丸いペシミスト、なにわリアリスト、熱血担当・・・
最初、扉絵を見たときには「?どういうことだってばよ」と訳が分からなかったんですが、終わってみれば超納得。個性あふれる素敵なメンバーでした。
上手くそれぞれのエピソードをからめていて、キャラを活かしたお話だったと思います。そのセンスください
以上、感想でした。
どうでもいいことですが、有川さんのあとがきで声優の沢城みゆきさんの字は「さわしろ」と読むことを知りました。(ずっと「さわぎ」と読んでました・・・)